オリンピック・サッカー大会とサッカーワールドカップ、どちらも4年に1度、その違いとは?
オリンピックのサッカー大会は4年に1度開かれるサッカーの世界大会。サッカー・ワールドカップは4年に1度開かれるサッカーの世界大会です。
と書くとどちらも同じに見えますが、ざっと比較するとこんな違いがあるんです。
項目 | オリンピック | ワールドカップ |
---|---|---|
総括・運営 | オリンピック | FIFA |
開催間隔 | 4年に1度 | 4年に1度 |
参加できる選手 | 23歳以下(オーバーエイジが3人) | 全年齢 |
注目すべき違いは【年齢】ですね。23歳以下と全年齢で分かれていて、なんだか二方に分かれて仲良くサッカーの大会を開いているように見えませんか?
でも、実はちょっと二方、あまり仲がよろしくないようで・・・
サッカーのオリンピックとワールドカップはどうしてこんなに違うのか?
こちらではオリンピックとサッカーの歴史を比較してみましたよ。この二方の違いを知っていけば、サッカーをもっと楽しめます!
オリンピックとサッカーの今までの歴史をざっと紹介
西暦 | オリンピック | サッカー |
---|---|---|
紀元前9世紀ごろ | 古代オリンピック(オリンピア採点競技)が誕生する | |
紀元前724 | 種目に中距離競争が加わる | |
393 | 第293回オリンピック競技大祭を最後に終焉 | |
1892 | クーベルタンによるオリンピック復興の構想 | |
1894 | 国際オリンピック委員会(IOC)発足 | |
1896 | 第一回 アテネオリンピック(ギリシャ)。このときから非公式にサッカーの試合が行われる | |
1900 | 第二回 パリオリンピックでサッカーが公式採用 | |
1904 | 国際サッカー連盟(FIFA)発足 | |
1908 | 第四回 ロンドンオリンピックでサッカーが正式種目に | |
1912 | 第五回 ストックホルムオリンピック(スウェーデン)で日本が初めてオリンピックに参加する | |
1924 | 第八回 パリオリンピック(フランス) 連絡用にメガホンからマイクロホンに変更、選手村が設置 | |
1924 | 冬季大会が初開催 | |
1930 | FIFAワールドカップ開幕 | |
1932 | ロサンゼルスオリンピックでサッカー開催を中止 | |
1936 | 第十一回 ベルリンオリンピックでサッカー日本代表が初参加、ベスト8に | |
1940~ | 東京、ロンドン大会が相次いで休止する | |
1954 | アジアサッカー連盟(AFC)を設立 | |
1964 | 第十八回 東京オリンピック開幕。日本はベスト8 | |
1965 | 日本サッカーリーグ発足 | |
1968 | メキシコシティオリンピックでサッカー日本代表は3位(銅メダル)に輝く | |
1972 | 札幌五輪(冬) | |
1977 | FIFAワールドユース選手権(※)開幕 | |
1984 | ロサンゼルスオリンピックでプロの参加が一部容認される(条件付き) | |
1985 | FIFA U17世界選手権(※)開幕 | |
1991 | FIFA女子ワールドカップ開幕 | |
1992 | バルセロナオリンピックで、23歳以下の規定を導入 | |
1993 | Jリーグ誕生 | |
1996 | アトランタオリンピックでオーバーエイジの選手を最大3人まで容認。女子サッカー大会がはじまる(こちらはA代表) | |
1998 | 長野五輪(冬) | |
1998 | フランスワールドカップで、日本がW杯初出場 | |
1999 | Jリーグが二部制になる | |
2000 | シドニーオリンピックで8大会ぶりのベスト8 | |
2007 | ※の2大会がそれぞれFIFA U20ワールドカップ、FIFA U17ワールドカップに大会名が変更される | |
2008 | FIFA U17女子ワールドカップ開幕 | |
2011 | FIFA女子ワールドカップ ドイツ大会で日本が優勝 | |
2012 | ロンドンオリンピックで4位 | |
2014 | J3リーグが誕生 | |
2015 | 明治安田生命とタイトルパートナー契約を締結 | |
2017 | DAZNがJリーグの試合中継権を獲得(10年間) | |
2020 | 第三十二回 東京オリンピック開催予定 |
オリンピックとワールドカップは仲が悪い?関係の歴史
世界平和のためにはじまった近代オリンピック
オリンピックを統括しているのはIOC(国際オリンピック委員会)です。
1890年代に、フランスの教育者【ピエール・ド・クーベルタン男爵】が「スポーツで世界平和を実現しよう」と、遥か昔に開催されていた【オリンピック】復活を働きかけ、IOCを立ち上げます。
オリンピックの精神(オリンピズム)について
「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること
」
「ベストを尽くし、お互いを理解し、ルールを理解しフェアプレー精神をはぐくむ」という元に近代オリンピックは始まっているのです。
決まりの一つに【アマチュアリズム】がありました。「プロのように、報酬のためにスポーツをしない」ということです。
そのため、以前の近代オリンピックはアマチュア専用の大会で、プロは参加不可能となっていました(※この考えは時代とともに合わなくなり、いまはない)。
青、黄、黒、緑、赤の五輪のマークを作ったのもクーベルタン。これは「結合をあらわす」色と形になっており、世界平和を望む近代オリンピックにふさわしいマークですよね。
はるか昔の時代でも、慢性的に争いが起こっていた古代ギリシアでさえ、オリンピアの祭典(古代オリンピック)のときは戦争を中断してでも参加していました。この休戦期間は『聖なる休戦』と呼ばれています。
近代オリンピックが始まった1894年からサッカー大会は存在し、世界のサッカー大会といえばオリンピックだったのです。
真の世界王者を決めるために始まったサッカーの大会『FIFAワールドカップ』
ワールドカップを統括するのはご存じFIFA(フィファ)(国際サッカー連盟)。
この頃のサッカーの世界大会といえばオリンピックでしたが、国際サッカー連盟のFIFAはこう考えていました。
FIFA「サッカー単独の世界大会を実現したい!」
そこでオリンピック=アマチュアだけというところに目をつけ「プロアマ問わない真の世界王者を決める大会を開きたい!」といろんな国に呼びかけました。そうして、1930年に第一回FIFAワールドカップが開幕!
今日の世界の燃えたぎるサッカー熱は、FIFAが作ったといっても過言ではないでしょう。
ちなみに、FIFAワールドカップ第一回大会は『ウルグアイ』で開催されています。
ワールドカップは成功、オリンピックが厳しくなっていく
ワールドカップが成功するとともに、FIFAは力がついていきます。すると、その次の1932年ロサンゼルスオリンピックではサッカー開催を中止してしまいます。「オリンピックなんかよりも、うちで最高のサッカー大会を作ろう!」となったわけですね。
その次のオリンピックではサッカーが復活するも、のちのち(1952年~1980年)には「アマチュアだけしか出られない」というルールが利用され「アマに見せかけたプロ級選手(ステート・アマ)」の問題が勃発。
それに対する対策や紛争・ボイコットなども重なり、そのうちだんだんと参加する選手の年齢が若くなり、年代別代表の面影が作られていきます。
代表をオリンピックに呼びたかったが、FIFAに断られる
ここでIOCは、1984年のロサンゼルスオリンピック(アメリカ)では、プロ参加を容認することにしました。アマチュアだけではやりきれなくなったのです。ところが、今度はFIFAはいい気がしません。
五輪「やっぱプロがいないと盛り上がらないんだよねぇ」
FIFA「知るか!サッカーはFIFAワールドカップがあればええんや!五輪は引っ込んでろ!」
※会話はイメージです
IOCとFIFAは話し合いました。その結果、オリンピックのサッカー大会では23歳以下の選手でチームをつくりましょうと決定。1992年のバルセロナオリンピック(スペイン)で規定されました。
ところが、集客が上手くいかず、いまいち盛り上がりませんでした。
五輪「やっぱ本物のプロがいないと盛り上がらない!なんとかしてくれ!」
FIFA「分かった。じゃあちょっとだけプロを入れたったるわ」
※会話はイメージです
オーバーエイジを加え、今日に至る
「プロがいないとあまりにも盛り上がらない」と改めて話し合い。「23歳以下の選手でチームを作って、少しだけベテランのプロを入れてみよう」とできたのが【オーバーエイジ】です。その次の1996年アトランタオリンピックから採用されました。
オーバーエイジ
開催年で24歳以上になる選手を、3名まで入れてもいい。この3名をオーバーエイジ枠と言われることも。ただし、3名の中に23歳以下を入れてもいい。
これがいまのオリンピックでも採用されている【U-23代表+オーバーエイジ枠】です。
U-23代表 | 15人 |
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オーバーエイジ可能枠 | 3人 |
登録合計 | 18人 |
基本は23歳以下でチームを組み、そこに歴戦の戦士を入れ補強するのがベターでしょう。
エースストライカーを入れるのか、ベテランのゲームメーカーを入れるのか、最高の守護神を入れるのか…
とても気になりますね!
サッカーの世界大会・オリンピックとワールドカップの違い まとめ
オリンピック(五輪)
- IOCが運営、4年に1度
- 23歳以下の期待の注目選手が集まる(U-23代表)
- 「基本はアマチュア」の精神があり、歴史とともにベテランも参加できるようになった
- 次回は2020年東京オリンピック
ワールドカップ(W杯)
- FIFAが運営、4年に1度
- 制限なしの国の代表選手が集まる(A代表)
- プロアマを問わない、本物のプロでガチンコバトルをして世界王者を決めたいと作られた
- 次回は2022年カタールワールドカップ
FIFAが運営するワールドカップは、A代表という国を代表する選手が集まり世界とぶつかる最強の大会です。
逆に言えば、ワールドカップの試合には出られない若い人が活躍できるのがオリンピックということなんです。
※ただし、FIFAにも年齢制限のU-17、U-20ワールドカップがあります。
お互いいろいろありましたが、どちらも注目すべき世界大会と言えるでしょう!
若くても年齢に負けないパワフルでエネルギーMAXな選手はいます。無限大に隠れた可能性を披露してくれるのも、アンダー代表試合の魅力です。
サッカーの注目世界大会が2年ごとに楽しめる!そう考えておいて間違いはないでしょう。